「Think the Earth」を通じ、地球について感じ、考え、行動する人を応援していきたい~一般社団法人Think the Earthの理事でプロデューサーの上田壮一さん


一人ひとりが地球のことを考え、行動するきっかけ作りを行なう非営利団体、一般社団法人Think the Earth(東京都渋谷区)は、東日本大震災後すぐに「Think the Earth基金」を立ち上げました。その後「忘れない基金」も作り、被災地で活動するNPOへ支援する活動を続けています。かなチャリの公開トーク会場で、「Think the Earth」の理事でプロデューサーの上田壮一さんに、2つの基金を中心にお話を聞きました。
――「Think the Earth」とはどんな団体ですか? 団体設立のきっかけは?
「Think the Earth」は「エコロジーとエコノミーの共存」をテーマに2001年に発足した一般社団法人(設立当時はNPO)です。持続可能な社会の実現のために、ビジネスやコミュニケーションなどを通じて社会に貢献するしくみを提供し、クリエイティブの力で環境問題や社会問題について考え、行動するきっかけづくりを行っています。1997年、かけがいのない地球について考えようと、地球の形が腕時計に入っているデジタル時計の事業を始めたのがきっかけで、地球について考え行動する人を応援するプロジェクトとして活動を始めました。

――上田さんは、現場で支援する「NGOを応援する基金を作る」というメッセージを、大震災後すぐに発信されましたね。
阪神・淡路大震災が起きた1995年はボランティア元年といわれた年。有名な団体には巨額な寄付が集まりますが、小さな団体は認知されずにお金が回っていかないという現状を目の当たりにした。東日本大震災では、何かしたいと思っていた人がうずまいていて、寄付先について、問い合わせがすごかった。緊急時の寄付には2種類あります。「義援金」は被災者に直接届く寄付ですが、すぐ届かないしいつ届くかわからない。一方、「活動支援金」は被災者を助けているNGOなどの団体を支援する寄付で、すぐにお金が生きる。緊急時にはなるべく早く現場で活動する団体を応援する必要があり、その受け皿となるしくみがあった方がいいなと、3月15日、「Think the Earth基金」を立ち上げたのです。
――それでは「Think the Earth基金」とその後作られた「忘れない基金」について教えてください
2011年3月16日~9月30日までに集まった寄付金を「Think the Earth」が基金としていったんお預かりし、現地で支援活動をするプロを応援しようと、緊急災害支援や復興支援を行っている団体に、7期に分けて寄付しました。当時みんなの関心も高く、9月末までに世界中から集まった寄付額は、8,350万円にも達したんです。
その後12月25日に、 東日本大震災「忘れない基金」 を始めた。「Think the Earth基金」を締め切った時に、もっと続けてほしいという声を多くいただいたからです。そこで、「Think the Earth基金」が緊急支援をテーマとする太く短い基金とするならば、もう一つ、復興に向け細く長く続けられる基金を作ろうと思った。今は「忘れない基金」は半年に1度、支援の手が届きにくい活動を行う団体やプロジェクトを選定し、寄付をしています。ホームページや facebook などで報告していきます。現在も寄付募集中です。

―今春、「大友克洋GENGA展」のチャリティプログラム、「大友克洋GENGA展×忘れないプロジェクト」を実施されましたね。
宮城県出身の漫画家で映画監督の大友克洋さんが、東日本大震災の被災地復興・チャリティ原画展をやりたいから相談に乗ってほしいという話があって。原画展の入場料の3分の1とチャリティオークションの落札金額を寄付するという企画です。Think the Earthと大友克洋GENGA展実行委員会が地元で復興に向け活動する6団体を選び、寄付をしました。その時、来場者が自分が支援したい活動(団体)に投票し、票数に応じて支援金が振り分けられるという仕組みを作ったのです。来場者も、自分が投票するというアクションをすることで、支援活動とのつながりが生まれると考えたからです。
――NPO法が改正され、税制上優遇措置ができました。個人寄付が増えると思いますか?
日本は、税金が給料から天引きされるサラリーマン社会だから、寄付控除を考える機会がなかなか訪れない。普通のサラリーマンは税務署に行くことはほとんどないので、自分が稼いだお金の中から社会に役立てる分を税金として行政にゆだねるか、寄付としてNPOに託すかという選択があることに気づかない。個人寄付を増やすためには、すべての人が確定申告をするようになると良いと思います。
――最近、クラウドファウンディングの流れがありますが、どう思いますか?
おもしろい流れだと思います。「ジャストギヴィング」とか「REDYFOR?」とか。人の夢や社会的行動を自分も応援でき、しかもソーシャルにメディア上でそれが実現していく。ポイントは、寄付した時にリアクションがあるかどうかが大切です。クラウドファウンディングは、寄付するとちゃんと見返りがありますし、ゲーム性もある。目標があって、みんなで協力するおもしろさもあるから、広がっているのではないかと思います。
――今後の活動予定は?

今後も「忘れないプロジェクト」は続けていきますが、さらに「忘れないリレー」をやろうという声も。被災地を応援する飲食やチャリティイベントなどを紹介すると、普通の人が行けるなあと。リレーのように、どんどん活動を紹介していくというプランを今考えているところです。
◆上田 壮一さん 一般社団法人Think the Earth理事/プロデューサー
1965年、兵庫県生まれ。広告代理店で6年間働いたあと、表現の現場を求めて映像ディレクターに。95年に宇宙から地球を見る視点を共有したいとの想いで「アースウォッチ」を企画。98年にプロタイプを作ったことを機に、多くの方と出会いながらThink the Earthの設立まで突き進むことに。以後、プロデューサー/ディレクターとして『百年の愚行』『1秒の世界』『世界を変えるお金の使い方』などの書籍を始め、携帯アプリ「live earth」、プラネタリウム映像「いきものがたり」などを手掛けている。
【関連リンク】
▽Think the Earth
http://www.thinktheearth.net/jp/
http://www.facebook.com/ThinktheEarth
▽東日本大震災忘れないプロジェクト
http://www.thinktheearth.net/jp/wasurenai/program/