三浦市を元気に。「楽しんでやろう!」-NPO法人みうら映画舎の土田さん 

NPO法人みうら映画舎 土田成明さん

生まれてから54年ずっと三浦市という土田成明さんはシャッター通りとなりつつあった地元の商店街を憂い、2005年「NPO法人みうら映画舎」を設立。現在は新しい公共の場づくりモデル事業「まちカルde生きがいにぎわい盛り上げタウン」を三浦市と組んで活動。
NPO法人の視点を観光客など「外向き」の事業から、住んでいる人を対象にした「内向き」の事業に転換した想いを伺いました。

―なぜ町の活性化を考えたとき、映画だったのですか?

もともと自然環境、特に「海」の景観を求めて、映画、テレビ、CM等の撮影が街中で頻繁に行われていました。「映画の中のアノ人と同じことを経験できるというスタイル」で住みたいまちの再生を目標に、俳優の食べた料理(弁当)、泊まったホテル(民宿)、歩いた散歩道を体験出来ると言う魅力をアピールしようと、平成15年度からフィルムコミッション活動が展開され、平成16年4月1日には三浦市の経済振興部に営業開発課が新設されました。そして同年10月1日にロケ誘致活動、映画撮影・ロケのプロセスを請け負うため、市内若手経営者を中心とした民間の任意団体「みうら映画舎」が設立され官民一体で活動が行なわれてきたのです。

―この事業が成功した要因は何でしょう?

まず行政と民間の歯車がかみ合ってすすめられたことだと思います。その部分では私のように市会議員をやり、お寺の住職をやり、という立場のものがうまく潤滑油になったのではないでしょうか。
民間が入ることで資金づくりが確実にできたと思います。市の観光PRという立場でボランティアで場所や人をお貸しするのではなく、民間の考えかたで町にお金を落としてもらう仕組みを構築できたと思います。
また映画誘致に関して制作会社とつながりを持っている人がメンバーに入ってくださって首都圏の映画制作会社やテレビ制作会社などとパイプが出来上がっていったことです。

―地元に根差し、認知されたきたみうら映画舎さんが今、手がけている「まちカル」についてお聞きします。この事業の目的は何ですか?

今までは三浦市民以外の観光客誘致に、つまり「外向き」の活動をしてきましたが、気が付いたら、観光客は来るけれど街は閑散としている!という現実があるわけです。そこで街が「生きがい」に溢れ、「にぎわい」を取りもどすにはどうしたらいいのか「内向き」の事業を企画することを目的としました。

―「外向き」に発信してきた活動とは違う「内向き」の活動に取り組んでいるということですね。まずどういうことから始めたのでしょう?

昨年9月頃からまず「人」を探し始めました。核となってくれそうな「人」の確保です。特に若い人材を見つけたかったのでフェイスブックなど駆使しました。今、やっと元気玉のエネルギーをもった大きさになってきました。これからその元気玉をどうやって爆発させるかという段階です。

まちカルカレッジの様子

―最後に、地域活性化を目的とするNPOの活動を成功させるカギは何だと思いますか?

街を愛する気持ちが必要だと考える人がいますが、地元で生れ育ったわけでもない人だっている、そんな人でも気持ちを1つにして動こうと思わせるには「楽しんでやろう!」ということです。楽しくなければ長続きはしません。
また活動の土台となる資金と人材が確保したうえで、新しい考えを受け入れることです。どんどん若い人材を受け入れてまかせていくことではないでしょうか。

―ありがとうございました!

◆土田成明さん プロフィール
1957年 三浦市生まれ。NPO法人みうら映画舎 理事長。金剛山大椿寺(三浦市)住職。前回の改選まで18年間三浦市議を務めた。

【参考】
「みうら映画舎」について

(財)地域総合整備財団の平成16年度e-地域ビジネス推進委員会で選定され、助成金を受けて、映画のロケーション地としてPRするため活動を開始しました。フィルムコミッションのホームページ(http://www.eigasya.jp/)を運営し、情報提供すると同時に各種手配等をホームページからも受け付けています。24時間電話で対応するスタッフもいます。設立当時の平成16年度のロケの受付延べ件数は46件で直接的な経済効果は約2千2百万円、市民のエキストラとしての登録も518人(平成17年11月末現在)に達し、広く市民が参加する活動となりました。オール三浦市ロケで撮影された上野樹里主演の映画「亀は意外と速く泳ぐ」(監督・脚本:三木聡)では、延べ415人ほどの市民がエキストラで出演。平成17年度は、11月までに既に170件弱の問合せがあり、そのうち73件が延べ184日のロケを敢行。

―「まちごとカルチャー(まちカル)」について

神奈川県の「新しい公共の場づくりのためのモデル事業」の一環で、三浦市とNPO法人みうら映画舎が中心となって推進していく「まちカルde生きがいにぎわい盛り上げタウン」は、市民の活動が「楽しく取り組める場づくり」により、「生きがい」を感じながら持続可能な取り組みとなり、街に「にぎわい」が生まれることが狙いで、三崎下町周辺を中心に展開していく事業。
「まちカル」とは、「街ごとカルチャー」を出発点とする造語。市民の様々な活動が気軽な「カルチャー講座」のような形で実施され、「参加する」「企画する」「教える」「発表する」など自由に交流しながら「生きがいづくり」を広げていくことを目指す。
まちカルカフェ「市民交流活動拠点R-0(ゼロ)」、まちカルイベント「ライブ・アートクラフトイベントの開催」、市民参加型ライブステージ「三崎音楽空間」、三浦市ゆかりの映像作品の視聴会「みうら映像作品展」、市民発の情報発信によるフリーペーパーとインターネットによるまちカルマガジン&ウェブ「ウェブサイト・フリーペーパーなどによる情報発信」などのプロジェクトを展開している。平成23年度神奈川県新しい公共の場づくりのためのモデル事業。
【関連リンク】
▽三浦市とNPOによる「まちカルde生きがいにぎわい盛り上げタウン」が始動ー「まちカルいいね!-ズ」メンバー募集中!(かなチャリ)
https://kanachari.jp/blog/1840.html
▽三崎で町ぐるみアートイベント「まちカル」開催-出演者、サポーター募集(かなチャリ)
https://kanachari.jp/blog/1956.html
▽三浦まちカル facebook
http://www.facebook.com/machikaru
▽三浦まちカル twitter
http://twitter.com/machikarumiura
▽みうら映画舎
http://www.eigasya.jp/