FMヨコハマでNPO紹介番組がスタート。親しみやすい発信で市民とNPOの距離を近づけたい ―番組をコーディネートする「ソーシャルコーディネートかながわ」理事・奥津茂樹さん


神奈川県でNPO活動に関わる人たちのメッセージを伝えるFMヨコハマのラジオ番組「もっとつながろう!NPO」が7月16日にスタートしました。神奈川県が展開する「新しい公共支援事業」の一環で、期間中に55本の番組をつくり、県内で活動するNPO団体を紹介します。このプログラムで、各団体との調整役を担うのは「一般社団法人ソーシャルコーディネートかながわ」(通称:ソコカナ)です。同法人理事で、「かながわ寄付をすすめる委員会」の委員、奥津茂樹さん(川崎市高津区)に、新番組の狙いや「NPOと寄付」などについて、聞きました。
―新番組について聞かせてください。
 7月16日にスタートしました。県内NPOで活動する方々から「ありがとう」エピソードを紹介する3分間の番組です。FMヨコハマの「THE BREEZE」内コーナーで、毎週月曜日から金曜日の12時23分頃に放送予定で、夏期35回、冬期20回の計55回放送されます。首都圏ならばWEBサイトやスマートフォンアプリの「radiko.jp」でも聴けますよ。今回、ソコカナは、番組に登場する団体の選定に協力しています。
―「NPO認知度向上事業」はこの番組のほかにどのようなイベントがありますか?
11月18日に、横浜赤レンガ倉庫で、FMヨコハマとNPO法人アークシップが協働して「かながわ県民900万人が歌えるありがとうソングコンテスト」が開催されます。現在、曲を募集しています。グランプリ曲は、この番組のテーマソングに使われたり、関連イベントで使用されたり、様々な場所で演奏される予定です。
―ラジオ番組や歌のコンテストなどで、広く寄付やNPOについて発信するのはなぜですか?
まだ、NPOは一般市民に知られているとは言えません。寄付についての仕組みも同様に難しく思われがちです。そこで音楽やラジオ放送など、多くの人たちにも親しみやすい形式でメッセージを発信しようと考えました。
―一般の市民がNPOを応援する意義はどんなところにあるのでしょう?
地域の課題をどうにかしたいと活動しているNPOを応援することは、社会の課題解決を応援するということ。自分のためだけでなく、自分の利益を超えた価値、つまり、おおやけ=公益=を守っていくために、市民が支える「寄付」が必要になってくるわけです。神奈川県は、「寄付は私の社会貢献」をキャッチフレーズに「神奈川チャリティアクション・キャンペーン(かなチャリ)」を2011年から展開しています。社会に役立ちたいが「時間がない・どうすればいいかわからない」という方々に、NPOに寄付する意義を伝え、行動するきっかけとなるメッセージを発信する事業です。ウェブサイトで、県内NPOの活動などの情報も提供しています。
――NPOが寄付や支持を集めるために必要な姿勢はどのようなものでしょうか?
寄付金は具体的な使途を明確にすることが大切です。これまではNPOの団体情報を公開すれば、寄付が進むと考えられていましたが、それだけでは足りません。プロジェクトごとにお金の使いみちの情報公開ができないでしょうか。プロジェクトの目的・内容・方法を明らかにして「この事業についてはこれだけお金がかかります」と説明をして共感と支持を得ていく。具体的に何をやっているか見せないと、寄付しようとする市民は増えないと思います。
―「ソコカナ」について教えていただけますか?
 2008年からNPOと企業の連携に取り組む任意団体として活動してきましたが、2012年4月、一般社団法人として新たにスタートしました。市民・企業・行政というセクターを超えた「連携力」で地域社会の課題を解決し、必要なコーディネートをしていく団体です。それぞれが県内の市民活動支援センターやNPO等で活躍する十数人のメンバーで構成しています。神奈川県の「かながわ寄付をすすめる委員会」の委員になって活動していくうちに、各団体の橋渡しとなる「民間のつなぎ役」が必要だと感じて、「ソコカナ」を立ち上げました。
―ソコカナとして、今後の予定は?
まず7月19日に海老名市で行われる県の「企業とNPOのパートナーシップミーティング」に協力します。また4月からかながわ県民活動サポートセンター(横浜市神奈川区鶴屋町)で、連携に関する相談窓口を開いていますが、25日に「アドバイザー相談」特別相談会を実施します。いずれも、ボランティアしたい人や活動を広げたいNPO、そして地域貢献したい企業など多様な立場の人たちをつなぐコーディネートが主な仕事です。
今後は、県内43カ所にある市民活動支援センター同士の横の連携をはかりたい。さらに、NPO設立支援や認定NPOをめざす団体に声をかけるなど、「攻めの相談事業」を展開し、「オールかながわの連携」を作っていきたいですね。
◆奥津茂樹さんプロフィール
1960年神奈川県平塚市生まれ、 明治大学大学院法学研究科修士課程修了。大学院生のときに「情報公開法を求める市民運動」に参加して以来、情報公開の制度化と定着に尽力してきた。「官官接待」「塩漬け用地」(土地開発公社の長期未利用地)などの名付け親でもある。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」理事、NPO法人「参加型システム研究所」主任研究員、一般社団法人「ソーシャルコーディネートかながわ」理事。
【関連リンク】
▽一般社団法人ソーシャルコーディネートかながわ
https://soco-kana.jp/
▽タイムテーブル&番組サイト(FMヨコハマホームページ)
http://www.fmyokohama.co.jp/timetable/fri.html
▽「かながわ県民900万人が歌えるありがとうソングコンテスト」
http://www.arcship.jp/arigatou/whats_arigatou/
▽かながわ寄付をすすめる委員会
https://qr.paps.jp/CMhiO