笑顔の花と花とが繋がるLeiのように- コミュニティを広げて安心できる地域に「子育ての輪Lei 」

笑顔になれる居場所づくり

四季が織り成す自然豊かな神奈川県中井町。神奈川県西部に位置する、人口約1万人(2018年10月現在)のこの町で、NPO法人子育ての輪Leiは、2016年に発足しました。子育ての輪Leiは「輝く未来を担う子どもたちのため、人と人とのコミュニティを広げ、地域作り・多世代交流ができる場を広げていくこと」をテーマに、活動を展開しています。2018年10月10日に開催された、「アウトドアから学ぶ親子防災」イベントを取材し、その活動内容をうかがいました。

運営の中心は子育て中の母親

子育ての輪Leiを運営しているスタッフの中心メンバーは、子育て中の母親たち。1回のイベントに数人が企画側として参加し、それぞれの活動を支えています。 主な活動は、月に1度の保護者向け地域防災講座をはじめ、「たまには大勢でワイワイ夕飯を食べよう!」の思いで始まったコミュニティ食堂、地場産の農作物や手作りのものを出品するマーケット、市民の目線から情報を発信するフリーペーパー作成、そして地域の子育てサークルの支援など、内容は多方面に渡ります。

きっかけと出会い

1級建築士として働きながら、副理事長を務めている磯辺友里さんは、「仕事以外のもっと広い領域で、何か自分にできることはないか」と、模索していたと言います。そんななか、2011年3月に父親の故郷で起きた東日本大震災は、磯辺さんにとって、地域のあり方を改めて見直すきっかけになりました。 「私たちの町を、もっと共に助け合える地域にしていきたいと、強く感じました」と、磯辺さんは当時を振り返ります。

同じ頃、理事長を務める海野美和(うんのみわ)さんも、引っ越してきたばかりの中井町で、育児や暮らしの情報交換ができるコミュニティの必要性を感じていました。共通の知り合いを通して偶然知り合った2人は意気投合し「地域のコミュニティを広げ、いざという時に、身近に頼れる人や居場所を確立しよう」という理念の下、口コミで周囲に賛同を呼びかけながら始めました。

地元の公民館を利用したおやこヨガや英語遊びなどの活動は、子育て中の母親たちの情報交換の場として多くの共感を呼び、徐々に地域に定着していきました。そして、活動開始から5年後の2016年11月、磯辺さんと海野さんを含めた10人のメンバーで、笑顔を花に見立て、花と花とをつなげて作られる花輪の「レイ」をイメージして名付けたNPO法人「子育ての輪Lei」を設立したのです。

人見知りでもつながれるきめ細やかな場作り

子育ての輪Leiのスタッフは、自身の子どもを連れてイベントに携わることも少なくありません。参加している他の子どもたちの様子も一緒に見守り、イベントの進行もサポートしています。育児中の母親のなかには、知り合いのいないイベントへの参加をためらったり、人見知りしたりする人もいます。そんな人には「手伝いに来てくれませんか?」と、スタッフとしての参加を呼びかけるといいます。役割があった方が、むしろ参加しやすく、作業中に会話が自然と生まれることで、知り合いもできます。こうしたきめ細やかな工夫で、少しずつコミュニティの輪が広がっています。

災害から子どもたちを守ろう

2018年10月10日、同法人主催の「アウトドアから学ぶ親子防災」と題したイベントが、川東タウンセンターマロニエ(小田原市中里)で開催されました。アウトドア防災ガイドの専門家あんどうりすさんを招いた講演会は、小田原市の市民活動応援補助金を活用し実現したもので、予定人数20人を大幅に上回る、親子合わせて50人が参加しました。

講演会の告知には、子連れでの参加を遠慮してしまいがちな母親たちにも「気兼ねなく参加してもらいたい」との願いから、「お子様連れ大歓迎!!」の一文があり、会場の後方には、レジャーシートを敷いた簡単なプレイスペースが作られていました。

講演は、阪神淡路大震災の実体験のほか、応急措置の実演、子育てグッズと非常用グッズをイコールにし、日常のカバンを防災仕様に工夫するアイデアの紹介、非常食の試食などが行なわれました。非常食用ビスケットの試食コーナーでは子どもたちが嬉しそうに頬張る場面も。

参加者はメモや写真を撮り、真剣な様子で講演会に参加していました。生後6カ月の赤ちゃんと一緒に参加した女性は「引っ越してきたばかりなので、自分の住む地域についていろいろと知りたくて参加しました。子ども連れで参加できたことも本当にありがたかったです」と、満足そうに話しました。

みんなが集まれる場所を

「コミュニティハウスれいんち」

発足当初から、町の公民館や児童館を活動の場としてきた子育ての輪Leiは、2019年春、中井町遠藤に独自の活動拠点「コミュニティハウスれいんち」をオープン予定です。
活動内容に共感したオーナーからの申し出があり、空き家だった古民家を借りることができました。2018年10月からリフォームが始まり、4月のオープンを目標に、大人も子どもも一緒になって壁にペンキを塗り、リフォームに取り組んでいます。「これで完成!と決めず、『コミュニティハウスれいんち』をずっと作り続けていくような気持ちでやっていきたい」と、海野さんは明るく話します。

子どもたちの笑顔が、活動の原動力

副理事長の磯辺友里さん

「何より子どもたちの笑顔が原動力ですね。寄付や応援は勿論ですが、活動に共感を持った人がいたら、ぜひ気軽に問い合わせてほしいです」と、磯辺さんは寄付をはじめ、ボランティア等、共に活動出来る人材に参加を呼びかけています。「元気な子どもを育てるには、まずはお母さんが元気でいること」新たな拠点の開設を控え、子育ての輪Leiの活動の輪は、益々広がっていきます。

寄付・活動についてのお問い合わせ

特定非営利活動法人 子育ての輪Lei
〒259-0143  神奈川県足柄上郡中井町
TEL:080-2047-6633
URL:https://kosodatenowa.wixsite.com/kosodatenowa-lei

コミュニティハウスれいんち
〒259-0141 神奈川県足柄上郡中井町遠藤68-1

 

野地 静香(のぢ しずか) プロフィール

1982年神奈川県生まれ。就職後、仕事をしていく中で、相手の立場を考えて話すことの大切さを感じ、休日を利用して東京アナウンスアカデミーに通い始める。卒業後はケーブルテレビの市民リポーターとして、地域に関わりながら、さまざまな情報を伝えてきた。主婦となり、母親となった今、新たな視点で神奈川県の更なる活性化と、より広く情報を伝えて行くことを目標としている。