ランチ一食分500円から始める途上国支援・NPO法人地球の木

「たまの休日には、ゆっくり起きてブランチにするか……。」そうやってランチ代が浮いた経験、あなたにもありませんか?特定非営利活動法人地球の木(横浜市中区不老町1、以下地球の木)では、「月にランチ1食分500円」の会費でできる国際協力を掲げ、26年にわたって途上国の自立支援を行ってきました。今回は、2017年9月から新理事長に就任した堀千鶴さんにお話をうかがいました。

「現地との伴走」掲げ、身近なアジアの国々を支援

団体の設立は1991年。1980年代半ばに起きたアフリカ・エチオピアなどの飢饉に対して、生活クラブ生協神奈川の有志が募金活動を行ったことがきっかけでした。
その後、自分たちの身近なところを見直そうとアジアに目を向け、ラオス、ネパール、カンボジア、フィリピン(現在は他団体へ委託)へと活動範囲を広げてきました。日本国内では講演会の主催・イベントへの出店を通して、国際協力の情報発信や、団体の活動を広める活動を行っています。また、東日本大震災をはじめとする災害時の緊急支援も世界各地で行ってきました。
堀さんたちが大切にしている支援のコンセプトは「現地との伴走」。現地の生活様式を大きく変えようとはせず、その土地の文化を尊重しながら支援を進めます。

人を育てるプロジェクト~ネパール・幸せ分かち合いムーブメント

その精神を体現するのがネパールで進めている「幸せ分かち合いムーブメント」。村人が主体となってプログラムの内容を考えることで、「支援する・される」という関係ではなく、対等な関係を築くことを重視しています。
例えば、教育を支援しているネパールの村では、識字教室の教師が村での生活に馴染めず、逃げ出してしまうケースが多いのだそう。そのため、村での生活を知る現地の子供に奨学金を支給して進学を援助。教師として帰ってきてもらうという人材育成プログラムを行っています。

対話を重視したものづくり~カンボジア・クメールシルクプロジェクト

現地と対話をしながら支援を進める上で面白いのが「色彩感覚の違い」だそうです。カンボジアで展開している「クメールシルクプロジェクト」では、日本市場でも売れるデザインの商品を発注しなければなりません。
しかし、一口に「ピンク」と言っても、現地の人たちがイメージするピンクと日本人に受けるピンクは違うのだとか。「カンボジアの人たちが良いと思うのはブーゲンビリアの花のような鮮やかなピンク。でも、日本のお客さんに受けるのは桜のような淡いピンク色です。そこをすり合わせながら作っていくのは大変です」と堀さんは話します。

横浜にいながらできるアジア支援~学生の参加に期待

地球の木の活動は今年で27年目。長く活動を続ける中で生まれた課題もあります。団体設立当初と比べて、ほかにも国際協力団体が増えたことで参加の選択肢が広がり、地球の木の活動を広め賛同してくれる人を増やすのは難しくなっています。
そんな中で堀さんが注目するのは学生の参加です。「NPOの活動には地味なものも多いけど、企画を作るところから関わってもらえれば」と期待を寄せます。新理事長を迎えた地球の木のさらなる躍進に、ますます目が離せません。

岩崎真夕 プロフィール

横浜市立大学国際総合科学部2年生。高知県出身。興味を持ったらすぐに飛び込む行動派。座右の銘は「一食入魂」で、食べることが大好き。知識と経験を蓄え、弱者に寄り添うジャーナリストになるのが目標。「よそもの」の視点から、ハマっ子も知らない横浜の魅力を発信したい。

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